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腰痛

腰痛について

腰痛は日常診療で最も多く訴えられる症状のひとつです。

重いものを持った後の急な痛みから、長年続く慢性的な痛みまで、腰痛の原因や程度は人によって様々です。

多くの方が一度は経験したことがある症状ですが、原因によって治療法も大きく異なります。

腰痛の原因は多岐にわたり、筋肉の疲労やこりといった比較的軽いものから、椎間板ヘルニアや脊柱管狭窄症といった専門的な治療が必要なもの、さらには絶対見逃してはいけない内臓の病気が隠れている場合もあります。

まずは「どんな腰痛か」を正確に見極めることが大切です。

腰痛の主な原因

腰痛の原因は多岐にわたります。

主な原因とその特徴をご紹介します。

分類 主な疾患・状態 特徴
筋肉・靭帯の問題 腰部の筋肉痛、ぎっくり腰 長時間同じ姿勢、重いものを持った後、急な動作で発症
椎間板の問題 椎間板ヘルニア 腰から脚にかけてのしびれや痛み、前かがみで悪化
骨・関節の問題 腰椎の変形やずれによる炎症、骨盤のゆがみ 慢性的な痛みやこわばり、朝に症状が強く出る
神経の問題 坐骨神経痛、脊柱管狭窄症 歩行時の脚のしびれ、前かがみで楽になる
骨の問題 骨粗しょう症による圧迫骨折 高齢者、閉経後の女性に多い
内臓の問題 内臓疾患 安静時も痛む、発熱や体重減少を伴う
感染・腫瘍 感染症、がん 持続する痛み、全身症状を伴う

当院の腰痛診療における特徴

総合的な診断

当院では総合内科専門医が在籍しており、腰痛の原因を整形外科的な視点だけでなく、内科的な観点からも評価します。

腰痛では尿路結石や腎臓の病気、血管の病気など、内臓が原因となる症状を見逃しません。

腰痛の約8割は原因が特定できないといわれています。

ただしこれは「原因がない」のではなく、「原因が複数重なっており1つに特定できない」「検査では見えない要素が多い」ため、診断が難しいということです。

当院では総合内科専門医が内臓疾患を、救急専門医が緊急性の高い危険な腰痛を見逃さないよう、専門的な視点から総合的に診察します。

見逃してはいけない危険な腰痛(レッドフラッグ)

レッドフラッグとは、重大な病気が隠れている可能性を示す警告サインのことです。

以下のいずれかに当てはまる場合には、速やかな検査が必要です。

  • 発症年齢が20歳未満または55歳以上
  • 時間や活動性に関係なく続く腰痛
  • 胸部の痛みを伴う
  • がん、ステロイド治療、HIV感染の既往歴がある
  • 栄養不良がある
  • 体重が減少している
  • 広範囲に及ぶ神経症状がある
  • 背骨の変形が進行している
  • 発熱を伴う

これらの症状を認める場合には、すぐに受診が必要です。

当院では迅速に検査を行い、必要に応じて専門病院へ紹介する体制を整えています。

特に高齢者の方や持病のある方は、複数の原因が重なっていることもあります。

血液検査や尿検査、画像検査を組み合わせて、総合的に診断を進めます。

治療の選択肢

診断結果に基づき、患者様の状態に応じた治療法を提案します。

痛みがつらいときには、鎮痛薬や消炎薬を使用します。

痛みの程度に応じて内服薬、貼り薬、塗り薬を組み合わせ、筋肉の緊張が強い場合には筋弛緩薬も併用します。

しびれを伴う痛みや長引く痛みに対しては、神経障害性疼痛治療薬が有効な場合があります。

詳細な検査による正確な診断

腰痛の原因を特定するため、当院では様々な検査を組み合わせて総合的に診断します。

問診と診察

痛みの場所、発症時期、どんな動作で痛むか、しびれの有無などを詳しくお聞きします。

実際に体を動かしていただき、痛みの出る動きや姿勢を確認します。

画像検査

検査項目 わかること
レントゲン検査 骨の並びや変形、骨折の有無
CT検査 骨の微細な異常、椎間板の変化、神経の通り道の狭さ
※当院で即日実施可能
骨密度検査 骨の強度、骨粗しょう症の有無
※圧迫骨折のリスク評価に重要
MRI検査 椎間板ヘルニア、脊柱管狭窄症、神経の圧迫の程度
※必要時は近隣医療機関と連携

血液検査・尿検査

  • 炎症の有無や内臓の機能を評価
  • 内臓由来の腰痛を見逃さない
  • 尿路結石や腎臓の病気を確認

当院ではCTを導入しているため、その場で撮影し結果をご説明できます。

必要に応じて血液検査や尿検査も組み合わせ、腰痛の原因を正確に特定します。

充実した画像診断設備

当院ではレントゲン、CT、骨密度検査を院内で実施できます。

レントゲンでは骨の並びや変形の程度を確認し、CTではレントゲンでは確認できない詳細な骨の状態を立体的に調べることができます。

腰痛に対する骨密度検査では骨粗しょう症の有無を評価します。

骨がもろくなっていると、軽い外力でも圧迫骨折を起こすことがあり、腰痛の原因となります。

特に高齢者の方には重要な検査です。

必要に応じてMRI検査の手配も可能です。

各種検査について

ペインクリニックによる痛みの管理

整形外科での治療でなかなか改善しない腰痛に対しては、ペインクリニック科での治療も可能です。

当院には日本麻酔科学会専門医・指導医、日本ペインクリニック学会会員の資格を持つ医師が在籍しています。

神経ブロック注射により、痛みを伝える神経に直接働きかけて症状を和らげることができます。

腰痛の原因や部位に応じて、以下のブロック治療を行います。

ブロック治療 適応 特徴
トリガーポイント注射 筋緊張性腰痛
筋筋膜性疼痛
筋肉のしこりに直接注射。最もよく行われる簡便なブロック
仙腸関節ブロック 仙腸関節由来の腰痛
骨盤のゆがみ
臀部の痛み、立ち上がり時の痛み、片側の腰痛に効果的
椎間関節ブロック 腰椎の関節由来の痛み 体を反らすと痛むタイプの腰痛に適応
腰部硬膜外ブロック 椎間板ヘルニア
神経根の炎症
坐骨神経痛
広範囲の痛みを和らげる。坐骨神経痛にも有効

ブロック注射は効果に個人差がありますが、比較的短時間で痛みが軽減することがあります。

また、薬物療法を組み合わせることで、より効果的な痛みのコントロールを目指します。

長期的な痛みの管理や日常生活での対処法についても、丁寧にお伝えしていきます。

ペインクリニック科について

物理療法とリハビリテーション

当院では低周波治療、牽引療法、ウォーターベッド、温熱療法などの物理療法を実施しており、筋肉の緊張をほぐし血行を改善することで痛みの軽減を図ります。

低周波治療は電気刺激により筋肉の緊張をほぐす治療法です。

牽引療法では腰椎を引っ張ることで椎間板や神経への圧迫を軽減します。

ウォーターベッドによる水圧マッサージは腰の筋肉の緊張緩和に効果的です。

温熱療法では患部を温めることで血行を促進し筋肉の緊張を和らげますが、急性期の強い痛みには冷やすことが有効な場合もあります。

生活指導とリハビリテーション

腰痛の改善には、正しい姿勢や腰に負担をかけない動作を身につけることが大切です。

重いものを持つときの工夫や座り方、立ち方、寝るときの姿勢について具体的にアドバイスします。

腰を支える筋肉を強化するため、ストレッチや筋力トレーニングの方法もお伝えします。

特に腹筋や背筋を鍛えることで腰への負担を減らすことができます。

自宅でできる簡単な体操を継続していただくことで、症状の改善と再発予防につながります。

ウォーキングや水中運動など、負担の少ない運動を日常生活に取り入れることも重要です。

適度な運動習慣は症状の予防だけでなく、全身の健康維持にも効果的です。

よくある質問

腰痛で受診するタイミングはいつがよいですか?
強い痛みで日常生活に支障がある、脚のしびれや力が入りにくい、排尿や排便に異常がある、安静にしていても痛みが続く場合には早めの受診をお勧めします。また、1週間以上症状が続く場合や、繰り返し痛みが出る場合も、一度受診して原因を調べることが大切です。
ぎっくり腰になったらどうすればよいですか?
まずは無理をせず安静にしてください。痛みが強い場合には冷やすことが有効です。2〜3日経っても痛みが改善しない場合や、脚にしびれが出る場合には受診をお勧めします。ただし、激痛で数日も待てないほど辛ければブロック注射が可能です。
腰痛は治りますか?
急性の症状(ぎっくり腰など)の多くは、適切な治療により数日から数週間で改善します。慢性的な症状は完全に治すことが難しい場合もありますが、適切な治療と生活習慣の改善により、痛みをコントロールし、日常生活を快適に過ごすことは可能です。原因によって治療法も異なるため、まずは正確な診断を受けることが大切です。