頭痛について
頭痛は誰もが経験する身近な症状ですが、原因や種類は様々です。
多くの頭痛は命に関わるものではありませんが、日常生活に大きな支障をきたすことがあります。
また、まれに脳の病気が原因となる危険な頭痛もあるため、適切な診断と治療が重要です。
頭痛は大きく分けて、脳や他の病気が原因でない一次性頭痛と、別の病気が原因で起きる二次性頭痛に分類されます。
一次性頭痛には片頭痛、緊張型頭痛、群発頭痛などがあり、痛みそのものが病気です。
二次性頭痛は、けが、感染、血管障害、腫瘍などが原因で起きる頭痛で、早期に精査が必要な場合があります。
頭痛の種類
片頭痛
片頭痛は脳や頭の血管、神経の働きと自律神経のバランスが関係して起きる頭痛です。
睡眠、ストレス、気候、食事などで自律神経が乱れると、片頭痛の発作が誘発されやすくなります。
頭の片側に強い拍動性の痛みが出ることが多く、痛みは数時間から数日続く場合があります。
光や音で悪化したり、吐き気や嘔吐を伴ったりすることがあります。
発作の前に視覚のチカチカや見えにくさなどの前兆が出ることもあります。
日常動作で悪化する場合もあり、発作中は安静にしていることが多くなります。
女性に多く、月経周期と関連することもあります。
緊張型頭痛
緊張型頭痛は、頭や首、肩の筋肉が慢性的にこわばって起こる頭痛です。
頭全体や額、後頭部が締め付けられるような感じが特徴で、両側に起きることが多く、痛みの強さは軽度から中等度です。
持続的に続くことが多く、数十分から数日、慢性化すると数か月続くこともあります。
光や音で悪化することは少なく、吐き気もあまり伴いません。
首や肩のこり、筋肉の張りを自覚することが多く、デスクワークやストレスが原因となることがあります。
片頭痛と緊張型頭痛の両方が同時に現れることもあります。
群発頭痛(三叉神経自律神経性頭痛)
群発頭痛は、顔や片側の目の周りに強い痛みが起き、同じ側で涙や鼻水、まぶたの腫れや顔のほてりなど自律神経症状が同時に現れる頭痛です。
痛みは非常に強く、短時間(数分から数時間)で起きることが多く、群発的に頻回に起きる時期があります。
日常的な頭痛とは異なり、「非常に強い」「顔の片側に限局」「自律神経症状を伴う」のが特徴です。
男性に多く、飲酒や気圧の変化で誘発されることがあります。
危険な頭痛(二次性頭痛)
突然の激しい頭痛、これまでに経験したことのない頭痛、意識障害、麻痺、発熱、けいれんなどを伴う頭痛は、脳出血、くも膜下出血、脳腫瘍、髄膜炎など、命に関わる病気の可能性があります。
このような症状がある場合には、すぐに受診が必要です。
当院の頭痛診療における特徴
痛みの専門家 麻酔科専門医による診療
当院では痛みの専門家である麻酔科専門医が、頭痛の専門的な診療を行います。
痛みの場所だけでなく、発症の経過や生活への影響、精神面や過去の治療歴まで含めて総合的に診察します。
片頭痛、緊張型頭痛、群発頭痛など、それぞれのタイプに応じた最適な治療を提供します。
頭痛の診断では、まず患者様のお話をじっくりと伺うことが最も重要です。
痛みはどのような感じか(片側だけか両側か、ズキズキするのか締め付けられる感じか)、どのくらい続くのか、どのくらいの頻度で起こるのか、光や音で悪化するか、吐き気や嘔吐があるか、発作の前に何か前触れがあるかなど、詳しくお聞きします。
頭痛日誌をつけていただくと、診断や治療効果の評価に役立ちます。
いつ、どのような状況で、どれくらいの痛みが、どのくらい続いたかを記録することで、頭痛のパターンや誘因を見つけることができます。
薬物療法に加えて、注射療法、理学療法、リハビリテーションを組み合わせた総合的な痛みの管理を行います。
慢性的な頭痛の長期的なマネジメントにより、日常生活の質を向上させることを目指します。
CT検査による迅速な診断
危険な頭痛を見逃さないため、必要に応じてCT検査を院内で実施することが可能です。
突然の激しい頭痛や神経症状を伴う頭痛では、脳出血やくも膜下出血などの可能性を除外する必要があります。
典型的な片頭痛や緊張型頭痛では追加の検査は不要ですが、診察で異常を疑う場合や、急に始まったこれまでにない激しい頭痛、意識障害、片麻痺や言語障害などがある場合には、CT検査で二次性の原因を除外します。
当院では、救急科・ペインクリニック科の両方の専門的な視点から、緊急性の高い危険な頭痛の判断から慢性的な頭痛の原因の診断を行い、一人ひとりに合った治療を提供しています。
そのためのCT検査も院内で実施でき、迅速な診断が可能です。
緊急性のある場合には、速やかに専門病院へ紹介する体制も整えています。
最新の予防薬にも対応
片頭痛の予防療法として、CGRP(カルシトニン遺伝子関連ペプチド)を標的とした新しい治療薬(抗CGRP抗体の注射)を当院で処方可能です。
従来の予防薬で効果が不十分だった方の選択肢となり、発作の回数を減らすことが期待できます。
急性期の治療では、市販薬で効果がない場合にはトリプタン系薬(脳の血管や神経に作用して痛みを抑える薬)を処方します。
吐き気が強い場合には制吐薬も併用します。
神経ブロック注射による治療
内服薬で十分な効果が得られない場合には、神経ブロック注射による治療が適応となります。
当院では頭痛のタイプに応じて、2種類の神経ブロック治療を行っています。
星状神経節ブロック(SBG)
頭痛治療で最もよく使われる神経ブロックです。
首にある交感神経を一時的に抑えることで血流を改善し、痛みを和らげます。
緊張型頭痛、片頭痛、自律神経の乱れを伴う頭痛のいずれにも有効です。
後頭神経ブロック
後頭部から側頭部にかけて広がる痛みに特に効果的です。
首の後ろから後頭部にかけての頭痛(緊張性頭痛)や、スマホ首・ストレートネックに関連した頭痛に有効です。
栄養指導による体質改善
頭痛の予防には、日々の食生活も重要な役割を果たします。
頭痛を引き起こしやすい食品の見直しや、不足しがちな栄養素の補給について個別にアドバイスします。
積極的に摂りたい栄養素
特に片頭痛では、血管の収縮・拡張を安定させ、神経の過剰な興奮を抑えることが発作の予防につながります。
| 栄養素 | 主なはたらき | 多く含む食品の例 |
|---|---|---|
| マグネシウム | 神経の安定を助ける | 豆腐・納豆・ナッツ・玄米 |
| ビタミンB2 | 脳の疲労を和らげる | 卵・レバー・乳製品・緑黄色野菜 |
| オメガ3脂肪酸 | 炎症を抑え血流を整える | 青魚・アマニ油・えごま油 |
また、こまめな水分補給と血糖値を急激に上げない食べ方も効果的です。
水分補給にはカフェインを含まない麦茶やハーブティーが適しています。
注意したい食品・習慣
以下のような食品や習慣は、片頭痛の誘因になることがあるため注意が必要です。
| 注意すべき食品・習慣 | 理由 |
|---|---|
| 赤ワインなどのアルコール類 | 血管の拡張・収縮に影響するチラミンを含む |
| 加工肉・ハム・ソーセージ | 血管に影響する亜硝酸塩を含む |
| チョコレート・柑橘類 | 片頭痛との関連が報告されている |
| 化学調味料・インスタント食品 | グルタミン酸ナトリウムを多く含む |
| 食事を抜く・空腹状態 | 血糖値の低下が発作の引き金になることがある |
誘因となる食品を把握しながら規則正しい食事リズムを整えることで、発作の頻度を抑えることが期待できます。
薬による治療と並行して、栄養面からも頭痛の改善を目指します。
頭痛治療の流れ
当院では、診断から治療まで一貫した流れで頭痛診療を行っています。
STEP1 問診と痛みの評価
問診では、患者様のお話をじっくりと伺います。
痛みはどのような感じか、どのくらい続くのか、どのくらいの頻度で起こるのか、光や音で悪化するか、吐き気や嘔吐があるかなど、詳しくお聞きします。
痛みの強さを数値化し、生活への影響も含めて総合的に評価します。
STEP2 検査(危険な頭痛の除外)
二次性頭痛を見逃さないため、必要に応じてCT検査を院内で実施します。
脳出血やくも膜下出血などの重大な病気が疑われる場合には、速やかに専門病院へ紹介します。
STEP3 患者様に合わせた治療計画の提案
内服薬による治療、予防注射、神経ブロック注射、栄養指導、リハビリテーションなど、患者様の状態に応じて様々な治療法を組み合わせて提案します。
一人ひとりに最適な治療プランを作成します。
STEP4 新薬による治療(効果が不十分な場合)
従来の治療で十分な効果が得られない場合には、CGRP抗体などの新しい予防薬も選択肢として検討します。
頭痛治療のゴールは、頭痛で寝込む日々を卒業することです。
頭痛とうまく付き合いながら、外出や趣味を楽しめる豊かな人生を一緒に目指していきましょう。
頭痛の治療について
片頭痛の治療
①発作を抑える
片頭痛の発作が起きた時には、以下の薬を使用します。
| 薬剤 | 特徴 |
|---|---|
| NSAIDs (ロキソニンなど) |
一般的な鎮痛薬。軽度から中等度の発作に有効 |
| トリプタン | 片頭痛の特効薬。頭痛の原因物質が出るのを抑制する |
| ジタン | トリプタンの進化系。トリプタンが使えなかった方でも安全に使用できる |
トリプタンは頭痛の原因物質を抑えますが、血管を収縮させる作用もあるため、心臓への影響や倦怠感で使用できない場合もありました。
ジタンはこの問題を改善した新しい選択肢です。
②予防治療
発作が月に数回以上ある、生活の質が持続的に下がっている、急性期の薬が効きにくい場合には予防治療を検討します。
予防薬
CGRP(カルシトニン遺伝子関連ペプチド)について
従来の予防薬で効果が不十分な場合には、CGRP(カルシトニン遺伝子関連ペプチド)を標的とした注射薬を使用します。
CGRPは片頭痛に深く関わる物質で、この物質をブロックすることで片頭痛を予防し、発作の回数、重さ、日数を減らすことができます。
月1回の皮下注射で投与します。
このような方におすすめです
- 片頭痛発作が多い(月4回以上)
- 生活に支障がある
- 従来の予防薬が効かない、または副作用で使えない
- 発作が重く、内服薬だけではコントロールが難しい
主な副作用
- 注射部位の痛みや赤み
- 疲労感
- 便秘
薬物療法に加えて、規則的な睡眠、適度な運動、過度のカフェインやアルコールの制限、空腹や過労の回避、ストレス管理なども片頭痛の予防に大切です。
ロキソニンやトリプタンで効果が得られず市販薬で我慢している方、その先の治療があります。
まずはご相談ください。
緊張型頭痛の治療
予防と慢性化対策として、筋肉の緊張を和らげる治療が有効です。
温熱療法、肩や首のストレッチやマッサージ、理学療法を組み合わせます。
当院では低周波治療やウォーターベッドなどの物理療法も実施可能です。
生活習慣の改善も大切です。姿勢の改善、長時間同じ姿勢を避ける、適度な運動、十分な睡眠、ストレス管理を心がけてください。
デスクワークが多い方は、こまめに首や肩のストレッチを行うことをお勧めします。
頭痛の頻度が多い場合や生活に支障がある場合には、低用量の抗うつ薬や筋弛緩薬を予防薬として用いることがあります。
緊張型頭痛の治療
①発作を抑える
緊張型頭痛の発作が起きた時には、NSAIDs(ロキソニンなど)の鎮痛薬が有効です。
ただし、片頭痛に有効なトリプタンは緊張型頭痛には効果がありません。
②予防治療
頭痛の頻度が多い場合や生活に支障がある場合には、以下の予防治療を組み合わせます。
薬物療法
- 抗うつ薬(低用量)
- 筋弛緩薬
非薬物療法
- 物理療法(低周波治療、ウォーターベッド)
- 肩や首のストレッチやマッサージ
- 温熱療法
生活習慣の改善
姿勢の改善、長時間同じ姿勢を避ける、適度な運動、十分な睡眠、ストレス管理など、日常生活の見直しも重要です。
デスクワークが多い方は、こまめに首や肩のストレッチを行うことをお勧めします。
薬物乱用性頭痛について
頭痛薬を頻繁に使用していると、かえって頭痛が増えてしまうことがあります。
これを薬物乱用性頭痛といいます。
薬物乱用性頭痛が起こる仕組み
頭痛が続くたびに鎮痛薬を飲み、一時的に良くなってもまた頭痛が出るというサイクルが繰り返されると、脳の痛みを調整する仕組みが乱れてしまいます。
その結果、薬が効きにくくなり、頭痛の頻度が増えていきます。
薬物乱用性頭痛のリスク
特に以下の薬を月に10〜15日以上使用すると、薬物乱用性頭痛のリスクが高まります。
- 市販の鎮痛薬(アセトアミノフェン、ロキソニン、バファリンなど)
- トリプタン製剤
- その他の頭痛薬
このような症状に心当たりはありませんか
- ほぼ毎日のように頭痛が続く
- 薬を飲んでもすぐに再発する
- 頭痛の種類が変わったように感じる
- 以前より薬の効きが悪い
薬物乱用性頭痛の改善
薬の使用を減らすことで、70〜80%の方の頭痛が改善するといわれています。
ロキソニンなどの鎮痛薬の使用回数を減らすことで治せる頭痛があります。
頭痛薬を月に10日以上使用している方、薬の効きが悪くなったと感じている方は、一度ご相談ください。
適切な予防治療に切り替えることで、鎮痛薬の使用を減らし、頭痛の改善を目指します。
